エナメル質:歯冠の表面をおおうもっとも硬い部分で、目に見える部分です。神経(歯髄)や象牙質を包んで守っています。
象牙質:歯の神経(歯髄)を包むもっとも厚い部分で、歯のほとんどが象牙質です。知覚があるので、むし歯がここまでくるとしみたり痛んだりします。
セメント質:歯根の表面を包む薄い硬組織で、歯を歯槽骨に固定する役割をします。
歯髄(神経):歯の中心部にある軟組織で血管と神経でみたされています。むし歯がここまで達するとズキズキ痛みます。
人の口の中には多くの細菌がすんでいます。その中のミュータンス菌などのむし歯が、糖分を養分にしてネバネバした物質をつくり、その中でむし歯菌が増殖し、プラーク(歯垢)をつくります。
飲食をすると、その直後からむし歯菌が糖分から酸をつくりだして、プラークが酸性になります。このときの歯の表面(エナメル質)を溶かし、カルシウムやリン酸が奪われます。この反応を脱灰といいます。
しばらくするとだ液の働きにより、酸が中和され、カルシウムやリン酸が歯の表面(エナメル質)に再び戻ってきます。これを再石灰化といいます。
飲食のたびに脱灰と再石灰化が繰り返され、脱灰が慢性になると、再石灰化が追いつかなくなり、むし歯へと進行していきます。
C1:歯の表面(エナメル質)にむし歯による小さな穴ができています。自覚症状はあまりありません。
C2:エナメル質を超えて象牙質までむし歯の穴が進行しています。冷たい水が口に入るとしみることがあります。
C3:神経(歯髄)まで達しているため、ずきずきしたり激しい痛みを感じます。
C4:歯冠は崩壊し、神経も感染して歯根の先にまで炎症が起こります。
■■プラークコントロール
むし歯菌を減らすには、ブラッシングが最も一般的な方法です。正しいブラッシングによって、むし歯菌のすみかになるプラークを取り除きます。
食べ物のカスがついたまま24時間経つと、歯の表面では、むし歯菌が相当に繁殖します。とくに寝ている間は、だ液の流れが補われず、危険な状態が長くつづくことになります。
そこで歯みがきをするよいタイミングは、
●寝る前は必ず ●食前・食後はできるだけ
これを毎日の習慣にすることが、大切です。食前の歯みがきの利点は、古いプラークがあると飲食の直後からより酸性に傾いた脱灰が始まり、むし歯の危険性が増大するので、食前にそのプラークを取り除くことが望ましいからです。ブラッシングの方法や歯ブラシの選び方にちては、歯科医師に相談し、専門的な指導を受けましょう。
ブラッシングを過信しすぎない
むし歯、歯ブラシでは届きにくい歯と歯の間や咬合面の深い溝などができやすいので、ブラッシングを過信しすぎないことも必要です。歯と歯の間ではデンタルフロスを、深い溝にはフッ化物による歯質の強化やシーラントによってふさぎます。
糖分の摂取回数を控えめにする・・・・シュガーコントロール
糖分をじょずにコントロールすることで、むし歯菌の養分になるものを少なくし、菌の繁殖をおさえることができます。代表的な糖分には、食べ物や飲み物に含まれる砂糖(ショ糖)や、果物に含まれる果糖やブドウ糖などがあります。糖分の含まれる食べ物や飲み物をとる回数が少なければ、よりむし歯になりにくくなります。
とくに注意したいのは、三度の食事以外にとる間食の回数です。もともと間食には、三度の食事で不足する栄養分を補う意味があります。そこで、間食の内容には、甘いものだけでなく栄養面も考えて、ひと工夫したいものです。
飲食すると、プラーク中のpH(ペーハ)は酸性に傾き脱灰がはじまりますが、しばらくするとだ液の働きにより再石灰化されます。間食の回数の多い食生活では脱灰の時間が長く、再石灰化の時間が短くなり、むし歯の危険性が増大します。寝る前の飲食は最も危険です。寝ている間は口の中のだ液の流れが弱いので、再石灰化が不十分となり脱石灰化が不十分となり脱灰が続くためです。
■■フッ素とはどんなもの
フッ素(元素記号[F])は、塩素やヨウ素などと同じハロゲン族元素の一つです。化合力が非常に強く、身の回りにある土や水、草や木などの植物、いろいろな動物はもちろんのこと、人間の身体にも例外はなくフッ素は含まれています。
私達は、毎日食べ物や飲み物からフッ化物を身体にとり入れています。フッ素は、人間の身体、とくに歯や骨を丈夫にする有益元素です。
※フッ素元素の陰イオン(F-)の状態にあるものが含まれる化合物をフッ化物とよびます。
一日に必要なフッ化物は、成人では一日あたり3〜4mg(0.05mg/kg)とされています。毎日の食べ物や飲み物からとる量では、むし歯を予防するのに必要な量が不足しがちです。そこで、何らかの形でフッ化物を補う必要があるのです。
●どうしてフッ化物でむし歯が防げるのでしょうか?
フッ化物を歯に作用させると、歯の表面から取り込まれ、歯の結晶(アパタイト)の一部になります。フッ化物を含んだ歯の結晶は、普通の歯の結晶よりも丈夫になり、むし歯菌の出す酸に対してより強くなります。ですからフッ化物を適切に使うと、歯の表面が強くなり、むし歯になるのを防ぎます。
また、歯のエナメル質のまわりにフッ化物があると一度脱灰した部分の再石灰化を促進し、エナメル質の補修がしやすくなります。最近の研究では、この再石灰化促進力の方がむし歯予防効果としては大きいとされています。
むし歯予防のフッ化物は安全です。
フッ化物は、指示された量を守って使えば、むし歯予防に大変効果があり、世界中の学者や専門家により、研究が行われ、安全性も確認されています。すでに半世紀以上も、世界の国々で使用されています。
むし歯予防にフッ化物を使うことは、世界保健機構(WHO)や国際歯科連盟(FDI)をはじめ、日本においても厚生労働省や文部科学省、日本歯科医師会などが推薦しています。また、日本歯科医学会では、医療環境問題検討委員会フッ化物検討会で、フッ化物使用の安全性について多角的に検討を加えて証明を行い、1999年12月に「フッ化物はむし歯を予防する効果がある」として了承されています。
むし歯は神経を取ってしまえば一時痛みはなくなります。しかしそれで安心してはいけません。神経の無くなったトンネルを通して細菌が侵入してきます。細菌が根の先から骨に達するとそこにウミの袋ができるのです。歯が痛んで、神経を抜いた経験のある人は多いと思います。その時に歯医者さんが何回も歯の根の中に針を入れて回していたのを覚えていませんか。それは大変大事な治療なのです。神経が無くなって空間となった歯根の穴を、完全に清掃して消毒し防腐剤や殺菌剤をつめて密封することによって、歯根の先が悪くなるのを防いでいます。
根管は非常に細く形も複雑な為、この治療は大変な時間と労力が必要です。歯を長持ちさせる為には、決して欠かすことのできない重要な治療です。
1.感染根管(処置治療内容は症状により異なります。)
2.むし歯を取り除きます。
3.専用の器具(リーマやファイルなど)を使って消毒、細菌に感染した歯髄(神経)や根管壁を除去します。
4.根管内がきれいになれば再感染を防ぐため、根管の空洞に薬剤を詰める処置を行います。ゴムのような薬剤(ガッタパーチャ)を詰めます。
根の先まで薬がつめられたかどうか確認のためにレントゲンを撮り、かぶせものをします。